清友監査法人 SEIYU AUDIT CORP.

COLUMNコラム

地方自治体の包括外部監査

公認会計士の監査は上場企業から学校法人や労働組合まで様々な組織に行われますが、都道府県や政令指定都市・中核市といった地方自治体(地方公共団体)においても包括外部監査が義務付けられており、多数の公認会計士が包括外部監査人として活躍しています。

地方公共団体の包括外部監査はやや特殊で、決算を監査する訳ではなく、監査人が自ら必要と認めた特定の事件(テーマ)について監査を行い、結果に併せて意見を述べます。テーマは、一般会計の歳入・歳出・財産管理から、特別会計、地方公営企業(病院や水道など)、財政援助団体等(公社や三セクなど)など、自治体が行う各種の事業を比較的自由に選択することができます。

一般の決算監査であれば会計基準に準拠しているか否かについて監査意見を表明しますが、包括外部監査では事務の執行や経営に係る事業の管理が、法令・規則に準拠しているか、経済的・効率的・または有効であるか(いわゆる3E[1]監査/VFM[2]監査)、について指摘し、さらに事務執行や事業の管理が経済的・効率的または有効となるための方策や提言まで記載することが求められています。

地方公共団体の事務や事業は、公認会計士が通常接することのない教育・福祉・警察・防災など広範な内容を含んでいます。それらに対して指摘や意見を述べるのは本当に難しいのですが、包括外部監査人は外部監査が導入された趣旨を鑑みて、民間目線を確保しつつ、知見を活かして少しでも社会に貢献しうる指摘・提言ができるよう奮闘しています。

欧米の公監査では、更に進んだアウトカム監査や政策判断の監査も導入されているようで、公認会計士への期待が如何に大きいかと驚かされます。公認会計士の活躍の場は益々広がっていくのではないでしょうか。

清友監査法人 人見

<地方自治法 第2条> 14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。 15 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。

[1] 経済性(Economy)、効率性(Efficiency)、有効性(Effectiveness)の略

[2] Value for Moneyの略